小説ができるまでどのくらいの時間がかかるか気になったことはありませんか?
長編短編にもよるけど、大体1年くらいかしら?
小説ができる時間なんて見当もつかないよね。
ジャンルにもよるけど、思ったより短いんだよ。
もちろん長編短編にもよりますが、一番は執筆速度によると思います。
執筆速度とは、作家が小説を書き上げるまでにかかる速度のことを言います。
では、小説家の執筆速度とはどのくらいのものなのでしょう?
今回は、以下の構成となっています。
- 執筆速度が速いといいことがある
- 兼業専業によるが、1か月前後で書き上げる
- 執筆速度を早くするためのポイント4つ
- 執筆速度よりも大事なこと
具体的に解説していきます。
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目次
小説家にとって執筆速度とは?
たくさん作品を作ることができる
小説家にとって執筆速度とは、小説を早く、たくさん作ることができる能力です。
つまり、評価される作品が多くなります。
大ヒットを記録する小説ができる可能性はそこまで高くありませんが、
質を保てば、小説を作れば作るほど、可能性は高くなっていきます。
ピンチヒッターとして活躍できる
また、ピンチヒッターとしての役割を担うことができます。
出版社が出そうとしている企画があるとします。
ところが、その企画は急遽出せなくなってしまいました。
早急に出せなくなった企画の穴埋めをする必要があります。
仮に、あなたがフットワークの軽い作家だとして、そこの穴埋めができたらどうでしょう?
重宝されること間違いなしですよね。
特に、執筆速度が早い作家であれば、穴埋めも早く済みます。
その仕事だけで終わらず、それを足掛かりに、他の仕事に繋がるチャンスも広がります。
ここで執筆速度が遅ければ、早く穴埋めをすることができないので断られてしまうこともあります。
「自分には力不足です…」と、来た仕事を断ることになるかもしれません。
構成力や文章力は作家として必要最低限の能力として、
それに加えて高い執筆速度があれば、自分の強みとして売ることができます。
小説ができるまで
小説はどのようにできるかを説明してから、実際の執筆速度を見ていきましょう。
1.アイデアを出す
まずはアイデアを出します。
このアイデアが、小説づくりに欠かせないプロットを作る材料となるのです。
日常の生活で感じたことをエッセイ風にしてプロットを作り上げる作家もいれば、
他の作品からインスピレーションをもらい、プロットを仕上げる作家もいます。
一恋ちえ名義で「野球青春小説 クロス」の中の一篇「女マネ奮闘中!」でデビューをし、
時代小説「口入れ屋お千恵」シリーズ、「江戸屋敷渡り女中お家騒動記」シリーズを執筆した
作家の桑島かおりさんは以下のように語っています。
アイデアが何も出ないときは、
図書館の中を散歩しながら背表紙を見てキーワードを探してみたり、
辞書をめくって言葉と言葉をかけ合わせたりして、
面白い設定やシーンを考えたりしています。大体一つの設定や、書きたいと思うシーンから膨らませていくことが多いです。
ライトノベル作法研究所
また、第19回えんため大賞特別賞を受賞してライトノベル作家になった
ライトノベル作家の黒九いなさんは以下のように語っています。
入浴中、あるいは散歩中が多いです。
ライトノベル作法研究所
息が上がらない程度に血の巡りがいい時が、アイデア出しにはちょうどいいですね。
やはり、作家の皆さんは机に向かっているときより散歩や入浴中など、
一見執筆とは無関係なことをしているときの方が、アイデアが思い浮かぶと語っていますね。
2.プロットの作成
次に、プロットを作成します。
プロットとは、小説の設計図のようなものです。
執筆時は、このプロットを元に小説を作り上げていきます。
後になって修正することはまずありません。
プロットを完成させておくことで、執筆中に小説内の展開に悩む要素を減らしておけるので、
執筆のペースを落とさないという役割があります。
3.打合せ
とはいっても、作家が作ったプロット通りに小説が書けるかと言えば、そんなわけはありません。
小説をより面白くするために、編集者による話し合いが行われます。
話し合いの末、プロットが通れば執筆の段階に進むことができます。
この段階で、編集者の方から企画を持ち掛けられ、それに合わせたプロットを作ることもあるようです。
4.執筆
プロットをもとに執筆をしていきます。
執筆と言うと、机に向かって黙々と小説を作るイメージがあると思いますが、
取材を行ったり参考文献を読むなども執筆作業の一環です。
このように、小説の土台を作っていきます。
その過程で、改稿という原稿を書き換える作業があります。
誤字脱字の修正や文章の入れ替えから全面的な見直しまで様々です。
改稿が終わり次第、編集者に原稿を送ります。
5.打ち合わせ
執筆途中のものや完成原稿を、修正する必要があるか編集者が確認をします。
つじつまが合わない部分の修正や大幅な変更などを行うこともあります。
文字通り、編集者と作家が二人三脚で原稿を仕上げていく形です。
6.校正・校閲
原稿の修正が終わり、編集者から「OK」の出た原稿は、執筆が終了すると校正校閲の作業に入ります。
校正では、原稿で書かれた文章に誤字脱字がないかなどをチェックされます。
「わたし」から「私」、「気づく」から「気付く」などの表記の相違までもチェックされます。
校閲は原稿を確認し、内容の誤りを正したり、不足な点を補ったりすることです。
文章で、読み手に意味がうまく伝わらない文章もここで修正されます。
作品を出版物通りに印刷し、校正校閲された原稿をゲラと言いますが、
修正部分はすべて作家が自ら修正していきます。
修正が終わったら、また送り返し、校正校閲が行われます。
このやりとりを、修正する箇所がなくなるまで繰り返します。
7.印刷
校正校閲が完了すると、いよいよ原稿データが印刷所に送られます。
そこでは印刷をするほか、送られてきたデータにおかしなところがないか確認をします。
その確認をパスすれば、印刷されます。
8.出版
印刷が終わると、それが見本として作家のもとに届けられます。
やがて小説は出版され、書店に並ぶことになります。
実際どのくらいの執筆速度なのか
では、実際の執筆スピードとはどのようなものなのでしょう?
実例を紹介しながら解説していきます。
文字数で見る
通常時と繁忙期での執筆量は以下のようになります。
もちろん、作家によっても変わってくるので、あくまで目安です。
- 通常時:1日5,000文字
- 繁忙期:1日10,000~30,000文字
専業の作家であれば1ヶ月程度で書き上げますので、単純計算で以下の文字数を1日で書くことになります。
100,000文字÷20日(20営業日)=5,000文字/日
※平日稼働の場合
兼業の作家の場合ですと、執筆に割くことができる時間が短いため、
本文を書き上げるのに2ヶ月ほどかかる場合が多いようです。
なので、以下の文字数を1日で書き上げることができます。
単純計算で100,000÷40日(40営業日)=2,500文字/日
※平日稼働の場合
ちなみに、ライトノベル作品は1冊あたり10~12万文字程度、
短編小説は4,000~32,000文字程度で構成されています。
扱う小説の文字数により、日にちも前後します。
作品数で見る
今まで、執筆速度は原稿を書き始めてからを定義して説明してきましたが、
小説を作り上げるという観点で見るのであれば、小説の構成から数えることが正しいでしょう。
1作品を作り上げるペースについてですが、早い人では短編小説を1日で仕上げる猛者もいるようです。
上の話と照らし合わせて話してもいい!
逆に、誰でも知っているような有名な作家でも、数年新作を出していない、なんてこともあります。
もしかしたらスランプかもしれませんし、取材に多くの時間が必要なのかもしれません。
筆を執るまでの時間が長ければ、小説を作り上げる時間も長くなるし、
すぐに筆を執ることができれば、小説を完成させるのも早くなります。
執筆速度を速くするためには
執筆速度が速いと、何事にも有利であることは説明しました。
さて、そんな執筆速度を上げるにはどうしたら良いのでしょう?
執筆速度を上げるポイントは以下の4つです。
- ブラインドタッチ
- 練習あるのみ
- 成功体験を積む
- 評価しあえる仲間がいる
一つずつ解説していきます。
1.ブラインドタッチ
いくら作家とはいえ、万年筆を持って原稿に文字を書いていく作家は多くありません。
多くの作家は、パソコンに文字を打ち込んで小説を書いていきます。
その執筆作業中、手元を見ながら文章を書いているのと、画面を見ながら文章を書くのと、
どちらが早く文章を書くことができるでしょうか?
断然、画面を見ながら文章を書く方が早いに決まっていますよね。
手元を見ずにタイピングをすることをブラインドタッチと言います。
まずは、このブラインドタッチをマスターし、小説の資料などを見ながら文章を打ち込みます。
早く文章を書けると、思いついた文章を忘れることなくパソコンに打ち込むことができます。
ブラインドタッチをしている私ですら、いい文章を思いついて文章に起こすまでに忘れることがあります(笑)
ブラインドタッチの練習法については、こちらの動画を参考にしてください。
- ホームポジションを覚える
- 右手のひらを支点にブラインドタッチをする
- 強くタイピングをしない
- 「早さ」より「正確さ」
- 打ち間違いを恐れずにブラインドタッチに挑戦する
- 以上を踏まえて練習をする
2.練習あるのみ
これを言ってしまえば元も子もない、と思われるでしょうが、
やはり早くなるためには、どんなことでも練習が必要です。
ブラインドタッチも大事ですが、書いて練習することが一番早く執筆ができる方法でしょう。
文章を早く書くこともそうですが、執筆時間を少しでも伸ばすトレーニングをすることもできます。
執筆してみると分かるのですが、長時間パソコンの前で、椅子に座りながら執筆作業をするのは結構疲れます。
体力、精神力を削られるのもそうですが、モチベーションを維持するのも大変です。
練習を重ねて、執筆時間を長くすることで、書く文字数を増やすことができます。
3.成功体験を積む
練習する中で、執筆速度や執筆時間、書けた文字数やを更新することや、完成させた小説の数を増やしていくことで、
「自分はこれだけ書いたんだ」「これだけやり切ったんだ」と成功体験として自信に繋がります。
成功体験を作る方法として、まずは短編を書いてみましょう。
短編であれば、書き上げるのも長編に比べて容易です。
それを書き終えたとき、作品や達成感、経験値として残ります。
これを何度も繰り返して、執筆速度を早くしていきましょう。
4.評価しあえる仲間がいる
私の友達は、小学生の頃に親から使わなくなったパソコンをもらっていました。
小学生からパソコンデビューだなんて、なかなか早いですよね。
友達は、そのパソコンを使って毎日小説を書いていました。
ですが、色々なところに息詰まります。
タイピングが遅いので、小説の展開を思いついても早く打ち込めないため、アイデアを忘れてしまったり、
小説の展開、つじつまが合わない、自分が満足できる作品ができない…。
その友達には、一緒に小説を書く友達がいたので、
できた作品を見せ合いっこしてお互いの作品の評価をしました。
「その友達がいなければ、学生時代に小説を書くことを続けていなかったと思う」
とその友達は言っていました。
励ましあったり、アドバイスをしあったりできる仲間がいることで、学生時代は小説を書き続けることができたそうです。
練習をするには、一緒に小説を書く仲間がいるといいですね。
執筆速度より大切なこと
ここまで言ってきましたが、執筆速度だけが小説家の重要視される部分ではありません。
もちろん早いと有利なので、それに越したことはありません。
ですが、小説家にとって大切なのは、クオリティの高い作品を締め切りまでに作り上げることです。
執筆速度を上げようとして、質がおざなりになってしまっては本末転倒です。
まずは、現段階で自分が作り上げることができる良質な作品を作ることに集中しましょう。
その延長で執筆速度を上げることができれば十分です。
2年間でプロになる
~小説家を目指す最短ルート~
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まとめ
いかがでしたか?
今回の記事で分かったことは以下の通りです。
- 執筆速度が速いと、小説を多く作り上げたり新しい仕事をもらうチャンスができる
- 専業兼業によるが、1日で作り上げてしまう人もいれば、2か月かかる人もいる
- 執筆速度を早くするためには、ブラインドタッチ、練習、成功体験を積む、仲間がいることが必須
- 執筆速度も大事だが、質のいい作品を作れるようにしよう
記事の中で、小説を作り上げることの大変さを端々に感じることができたと思います。
それを経て、現在活躍している作家はそれに見合う成長をしたのでしょう。
速い執筆速度に憧れるでしょうが、焦りは禁物です。
執筆速度は小説を作り上げていけば手に入る副産物なので、作品を真心こめて書き上げましょう。
その方が、読者も嬉しいはずです。
一つ一つ丁寧な作品作りを心掛けたうえで、執筆速度を早くしていきましょう。