声優になるためには、一般的に専門学校か養成所に通うことになります。
でも、どちらを選べばいいかわからないですよね。
結論を先に申し上げると
専門学校と養成所どちらを選択しても声優になれます。
一番大切なのは、やる気と努力だからです。
とはいえ、専門学校と養成所の違いをよく知ったうえで選択したいですよね。
実際に授業内容の違いなどをよく調べもせず入学(入所)をし
「思い描いていたものと全然ちがう」というギャップから
早々に辞めてしまうということもあるようです。
これは事前によく確認していれば、簡単に回避できる問題です。
この記事では、専門学校と養成所の以下の違いを紹介しています。
- 授業数と内容
- 料金
- 進級のしかた
- 雰囲気
- 受けられる声優プロダクションのオーディション
専門学校と養成所どちらに通えばいいかの参考になれば幸いです。
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目次
はじめに
最初に断っておくと、この記事で紹介しているのは
あくまでも「一般的」な内容に過ぎません。
なぜなら、運営によって「理念」が違うからです。
その理念の違いから授業内容などに、運営ごとの「独自性」が生まれます。
最終的には、体験入学したり、資料請求をしたりして
運営側の「理念」と、自分の考えが合っているかの確認が大切です。
声優として仕事していくためには
声優として仕事していくためには
何を目指す必要があるのかを確認していきましょう。
まず目指すべきは声優プロダクション(声優事務所)への所属です。
なぜなら、ナレーションや吹き替えなどの仕事は、制作会社から
声優プロダクションに依頼されるからです。
声優プロダクションへの所属は
「専門学校」または「養成所」で勉強した後
プロダクションのオーディションに合格するというルートが一般的です。
専門学校と養成所の具体的な違いを確認していく前に
それぞれがどんなところなのか概略をお伝えします。
声優専門学校とはどんなところか
専門学校は、その名の通り声優になるための技術を学べる「学校」です。
学校のため、入試がありますが
ほとんどの学校が面接、書類選考のみです。
学力は求められません。
そのため、お金さえ払えば入れると言われています。
また、「認可校」の場合は
学割を利用でき、卒業すれば履歴書に書けるようになります。
専門学校の「認可校」と「無認可校」の違い
実は、専門学校には「認可校」と「無認可校」の2種類あります。
公的機関から設置認可されていると
「認可校」となり「専門学校」と名乗れます。
そのため、○○学院、○○アカデミー、○○専門校という学校名の場合は
「無認可校」の可能性があります。
「認可校」でも名前の響きを優先して○○学院といった
学校名にしているケースもあるので一概には言えませんが
「認可校」と「無認可校」を見分ける目安にはなると思います。
注意いただきたいのは
「認可校」だから良い、「無認可校」だから悪いというのはありません。
むしろ「認可校」顔負けの「無認可校」もあります。
実際に、「Re:ゼロから始める異世界生活」で
主人公ナツキ・スバル役を演じている小林裕介さんは
「無認可校」のアミューズメントメディア総合学院を卒業後
直接声優プロダクションに所属しています。
声優養成所とはどんなところか
次に、声優養成所がどんなところか確認します。
養成所は、声優プロダクションが直接運営している養成施設です。
養成所には入所オーディションに合格することで、入所できます。
入所オーディションでは
一般的に「自己PR」「質疑応答」「セリフ」「ナレーション」を行います。
養成所は学校ではないため
学割は利用できず、履歴書に書くことはできません。
簡単にまとめると、専門学校は「学校」で、養成所は「声優プロダクションが直接運営している養成施設」です。
声優専門学校と養成所の違い
では、ここからは声優専門学校と養成所の違いを確認していきましょう。
授業内容と料金
専門学校と養成所の「授業数」や「料金」を表にまとめました。
専門学校 | 養成所 | |
授業数 | 週5回 | 週1回から3回 |
卒業まで | 2年 | 1年から3年 |
料金(卒業まで) | 200万から300万 | 70万から110万円 |
専門学校と養成所でかかる費用がかなり違いますよね。
なぜここまで費用が異なるかというと、単純に授業数が異なるからです。
次に、専門学校と養成所でどんな授業があるのか確認しましょう。
専門学校の一般的な授業内容
専門学校では以下のような授業があります。
- 発声練習、筋トレ、滑舌
- 舞台演技
- アフレコ(1年生から)
- 歌・ダンス
- 座学(演技論など)
- アクセント
専門学校は授業数が多いため、座学やアクセントの授業などもあり
基礎の基礎から学べることが特徴です。
また、週5日で授業があるため、強制的にほぼ毎日練習できます。
上に挙げた授業以外にも、他校と合同で公開アニメオフレコを行ったり
企業のナレーションや吹替などの仕事に挑戦させてもらえたりする機会があります。
養成所の一般的な授業内容
養成所では以下のような授業があります。
専門学校と異なり、実践的なものが多く座学などはありません。
- 発声練習、筋トレ、滑舌
- 即興芝居
- 舞台演技
- アフレコ(上級クラス以降)
専門学校は、週1から3回の授業数なので
それ以外の日は自主練に努めないといけません。
学校に行きさえすれば強制的に週5日練習することになる専門学校と違い
モチベーションの管理を自分でする必要があります。
自主練をサボれば、周りにどんどん置いて行かれるので
養成所に通う場合は、いかに自分に厳しくなれるかが肝です。
養成所のアフレコに対する考え方ついて
どの養成所でも、基礎クラスの段階ではアフレコは行いません。
養成所「日本ナレーション演技研究所」出身「八代拓」さんは
「最初の1、2年はマイクすら見たことがなかった」と言っていました。
その理由として養成所の講師をされている方いわく
「どの養成所でも声優は声優である前に
俳優であるという考え方がされているから」だそうです。
実は、俳優の養成所と、声優の養成所のレッスン内容は大きく違いません。
そのことを感じられる例として
青二プロダクションの養成所「青二塾」のトップページでは
「優れた声優は、優れた俳優でもある」というキャッチコピーが書かれています。
「声優と俳優、ぜんぜん違うと思うんだけどな」とピンとこないかもしれません。
声優さんのイベントなどで公開アフレコを見たことはありませんか。
攻撃を受けたときがわかりやすいと思いますが
「ぐわっ」と言いながら体をのけぞっていますよね。
このことから分かるように
声優は声だけの演技に見えて、五体を使って演技をしているのです。
運営によって考え方は色々ですから、心身を鍛錬する目的で空手のレッスンがある養成所もあるそうですよ。
進級のしかた
専門学校は進級試験がありません。
授業に出ていれば、卒業できます。
養成所は、半年から1年のペースで進級試験があります。
多くの養成所では、進級試験に合格できなかった場合、退所させられます。
養成所を退所した後は、「別の養成所に行き、声優を目指す」または
「声優を諦めて別の仕事に就く」の二択になることが多いです。
雰囲気
比較的、専門学校は「緩い雰囲気」で
養成所は「ピリついた雰囲気」です。
専門学校の雰囲気はなぜ緩いのか
専門学校は、よほど人格的に問題がなければ誰でも入れます。
「アニメ好きだし、声優の専門学校入ってみよう」程度の気持ちで
入学したそれほど本気で声優を目指していない人も混ざっています。
全員が全員、声優を目指して真剣に取り組んでいないため
雰囲気が緩くなりがちです。
よく言えば、強いプレッシャーを感じず、伸び伸びと勉強できます。
養成所の雰囲気はなぜピリついているのか
養成所に入所するためには、オーディションに合格する必要があります。
養成所の審査員を務めたことがある方いわくオーディションでは
やる気があって成長率が高そうな雰囲気を持つ人を合格させるそうです。
つまり、本気度が高い人が多く
進級試験もあるため同期がライバルになります。
このような環境では必然的にピリつくのもうなずけるでしょう。
ただ、養成所でも友達はできます。
たとえば、81プロデュース所属の「白井悠介さん」、「伊藤健斗さん」
「小田柿悠太さん」の3人は養成所時代からの友人です。
養成所は、授業終わりや休憩時間には、先生の取り合いが始まるほど本気度が高い人が多いです。
卒業後に受けられるオーディション
専門学校と養成所で受けられる
声優プロダクションのオーディションの数が違います。
専門学校では、複数のプロダクションのオーディションを受けられます。
それに対して、養成所ではプロダクションが直接運営しているという性格上
運営元のプロダクションのオーディションのみ受けられます。
「じゃあたくさん受けられる専門学校のほうが有利だ」と思われたかもしれません。
実は、一概にそうは言えないのです。
意外と厳しい専門学校からのオーディション
養成所の場合は日ごろからマネージャーなど
事務所関係者が様子を見に来ます。
マネージャーなどが様子を見にきたときに
「演技がうまい」「感じがいい」など好印象を残せば
オーディション前に合格率が上がることになります。
一方、専門学校から声優プロダクションのオーディションを受ける場合
審査員とはオーディション会場で初めて会うことになります。
オーディション時のアピールのみで
「うちに欲しい」と思わせなければならないので合格が大変難しいのです。
「受けたオーディションが全滅」はザラです。
オーディションに全滅した人の進路は、大体養成所です。
ただ、全滅が多い理由は、専門学校は養成所と比較すると
本気な人が少ないというのもあると思います。
専門学校に通われていた方で、オーディション合格に向けて
自己PRを何百回と練習して受かったという方を見かけました。
ただ一人で練習するだけでなく、時々、家族や先生に自己PRを披露して
感想をもらい、どんどんクオリティアップを図っていたそうです。
これくらい本気にならないと、受からないものと考えたほうが良いです。
専門学校から合格した人の他のエピソードとして、通学中の電車でもぶつぶつ練習をしていたので、気味悪がられて誰も隣に座ってくれなかったと言っていました。恥を忍ぶくらい本気で打ち込む必要があるようです。
専門学校と養成所どちらがおすすめなのか
ここまで専門学校と養成所を比較してきましたが
「結局どちらを選べばいいのかな」と思われたかもしれません。
個人的には、厳しい声優業界を目指す以上は
最初から厳しい「養成所」に入ったほうが良いかなとは思います。
ただ冒頭でも申し上げたとおり、どちらでも選択しても良いです。
どちらに通っても声優になれる人はなれるし
なれない人はなれないからです。
要は、本人のやる気と努力が一番大切ということです。
そうはいっても、悪い学校や養成所を選んでしまうと
なれるものもなれません。
専門学校、養成所それぞれの選び方のコツを紹介します。
専門学校の選び方のコツ
資料請求、体験入学を行い
自分に合いそうな学校をいくつかピックアップします。
いくつかピックアップしたら、その学校の卒業後の実績を確認してください。
活躍している声優を輩出できている学校は講師の力量がしっかりあって
実践的なことを教えている学校ということになります。
養成所の選び方のコツ
養成所は、うまく進んでいけば最終的には
運営元の声優プロダクションに入所します。
プロダクションにより、得意分野が違います。
「ナレーションが強い」「アニメが強い」などです。
アニメがやりたいのに
ナレーションが強いプロダクションに入ってしまったら
本当の意味で夢を叶えたことになりませんよね。
各プロダクションの公式サイトには所属声優の一覧があります。
所属声優の仕事内容を見れば
何が強いプロダクションなのかということがわかります。
声優プロダクションは、約200ほどの数があります。
「ここは自分の好きな声優が所属しているところだ」などの固定概念は捨て
一つ一つどのプロダクションが自分にとって合うのか検討してみてください。
どちらにすべきかは自分の頭で考えよう
どこに通うべきかは
他人のアドバイスは受けても良いですが
自分で最終決定をするようにしてください。
声優は役者の数に対して仕事の供給が少ない仕事です。
やっとの思いで声優プロダクションに所属できても
ほとんどの人が声優の仕事だけでは食べていけず
アルバイトなど他の収入を得て暮らしています。
そんな厳しい声優業界なのに
自分の頭で考えられないような人が大成できるわけないですよね。
よく検討して、悔いの残らない選択をしてください。
学校選びや養成所選びは大変ですが、夢を叶えるためにも踏ん張りどころです
まとめ
- 専門学校は「学校」
- 養成所は「声優プロダクションが直接運営している養成施設」
- 「学費」は、専門学校のほうが高く、養成所のほうが安い
- 「授業数」は、専門学校が週5日で、養成所は週1から3日
- 「進級のしかた」は、専門学校は制限なし、養成所は進級試験有り
- 「雰囲気」は、専門学校が緩く、養成所はピリついている
- 「オーディション」は、専門学校は複数受けられ、養成所は一つ
専門学校と養成所の違いを紹介しました。
結局は自分のやる気と努力が一番大切なので、どちらを選択しても構いません。
ただ、声優業界は役者の数に対して供給される仕事が少ない厳しい世界です。
そんな厳しい世界を目指すわけですから
どこに通うかは、他人に決めてもらうのではなく
必ず自分で決めるようにしてくださいね。
2年間でプロになる
~声優を目指す最短ルート~